福井県の魅力満喫 🌸Part4【Jazz Club Shirai House】

さくら満開のころ、こちらのお店の月一回のジャムセッションの日程に合うようにツーリングを計画し、旅の途中に参加させて頂きました。

福井城址を北へ抜けた街の一角にありました
 初めての町、初めてのお店での参加はおっかなびっくりでしたが、お店の雰囲気も良く、セッションホストの方たちを始め、演奏者さんの温かさに見守られながらCandy,I'll close my eyes,Bye bye black bird,Blue bossaなど数曲弾かせて頂きました。楽器を持たずに行けるのがピアノの良いところです。
 セッションビギナーなので当然緊張はしましたが、来て良かったと思える貴重な体験をさせて頂きました。 ちゃんと司会者がいるジャムセッションというのは初めてでしたが、場を和ませるいい役割を果たしておられました。

落ち着いた雰囲気の中でのジャムセッション
昨秋二代目オーナーに就任されたというママさんの明るいキャラがこれからのお店の発展を確信させてくれます。初代オーナー白井淳夫氏の薫陶を受けたシンガーさんでもあるそうです。

福井県の魅力満喫🌸Part3 【鯖江市 伊藤柏翠俳句記念館】

 メガネの町として有名な福井県鯖江市にある「メガネミュージアム」。その近くにひっそりとある俳句の記念館を訪れてみました。昨年放送のテレビ番組「NHK俳句」にて、結核で夭折した俳人「森田愛子」が紹介された際に登場した記念館です。

 その番組には、こちらの館長の山岸世詩明さんも出演されていました。山岸さんはその昔、NHKで放送された「俳句王国」という番組に俳人 藤田湘子(ふじたしょうし・故人)と一緒に出演されたりしたこともある、この道七十年のキャリアをお持ちの方なのです。かねてより「福井に行くならここは一度行ってみなければ!」と思っていた場所です。

入り口に句碑があります

 行ってみると記念館というよりとても立派な一般の邸宅でした。すでに日も傾き、ご迷惑かなと思いつつも、せっかく来たのだから、と意を決して訪問してみました。声をかけてもどなたの返事も無く、帰りかけようとした時、年配の男性が帰って来られました。お年は召しておられますが、すごく快活な印象の方です。「今から拝観しても構いませんか」とお尋ねすると「どうぞどうぞ」という快いお返事。この方が山岸さんでした。

 中に入ってみて驚きました。実に様々な俳句の歴史に関わる資料がところ狭しと展示されているのです。正岡子規の後を継いで近代日本の俳句の祖となった高浜虚子や、その愛弟子であった伊藤柏翠とその内縁の妻・森田愛子にまつわる貴重な品々です。

 お二人とも結核を患っていたため、明日の命も分からない互いの身の上を熟慮し、愛し合いながらも婚姻という通俗的な手段を避けたとのことです。これは二人の師である高浜虚子の助言による苦渋の決意であったと伺いました。

 他にも、山岸さんのもとに集まった著名な俳人の手による数々の掛け軸や色紙の類でが展示されていました。その一つひとつを懇切丁寧に説明して下さり、俳句歴わずか五年の私はただただ感心するばかり。時間が経つのも忘れていました。

俳句にまつわる様々な資料が展示されています

左から森田愛子、伊藤柏翠、高浜虚子

 

森田愛子に関する書籍、ほか

様々な資料を熱心にご説明下さいました

句会の日にはこの和室が人でいっぱいになるそうです

 色々なことを教えて頂き、毎月句会を催されるというお座敷にも上げて頂き、お茶まで頂戴してしまいました。気が付くと二時間が経ち、すっかり日も暮れていました。「また参ります」とお約束しておいとましました。夜の歩道まで見送りに出て下さいました。

 帰り際に「これを一冊進呈します」と言って頂いたのが製本されたばかりの福井県俳句作家協会刊『令和四年板 年刊句集 福井県 第六十一集』でした。帰宅してから一句ずつ読ませて頂いています。巻頭には会長の山岸さんの十句が並んでいます。

 

 その中から私の好きな一句

 昭和本発禁ものに紙魚走る  山岸世詩明 

紙魚は「しみ」と読みます。紙を食べる小さな虫のことです。)

 俳諧諧謔(かいぎゃく=ユーモア)のある楽しい作品だと思います。

(山岸さんご本人よりお写真のブログ掲載許可は頂いています)

石田鍼灸 京都北山 (ishidashinkyu.net)

 

福井県の魅力満喫🌸Part2 【福井県 年縞博物館】(ねんこうはくぶつかん)

 若狭町歴史文化館を後にして北東へ進路を取ります。目指すは「福井県年縞博物館」。考古学関係のクライアント様からのおすすめスポットです。

湖畔に建つ美しい建築。混雑はしていませんでした。

 静かな湖底に毎年0.7mmずつ堆積する堆積物の層が、ここ水月湖には何と七万年分も大自然の中で保存されているのです。それをボーリング調査で採取して詳細に調べることで、例えば一万〇千△年前に自然界で何が起こっていたのか、を知ることができるのです。

7万年前にはまだ日本列島に人はいませんでした。

 また、出土物などの年代測定に用いられることで有名な「放射性炭素年代測定法」だけでは確定できない誤差をかなりの精度で修正することもできるのだそうです。まさに実在するタイムマシンです。これだけの規模で保存されているのは世界でもここがトップレベルなのです。

わずか数十年単位の誤差です。

 

ドイツの技術者に依頼して制作された地層のスライス


 百聞は一見に如かず。若狭方面へお出かけの際はぜひお立ち寄り下さい。小学生の子供さんでも楽しめますよ。

石田鍼灸 京都北山 (ishidashinkyu.net)

外界から強いストレスを受けると身体は一時的に沈黙する

 今夕治療にみえた患者さんのAさん(四十代女性)、主訴は腰痛と左膝の痛みです。

 今春の初診以来、多少の再発を繰り返しながらも、少しずつ良くなっています。主訴の改善以外にも、当院で施術を受け始めて以来、それまで慢性的に苦しんだ首肩の痛みや頭痛があまり気にならなくなり、日々の眠りも深くなったと言ってくれています。

 この方のように、ご自身の変化を客観的に観察できるタイプの患者さんは、我々施術者側からするととてもありがたいのです。治療効果を自らの心身で感じ取って下さるからです。そういう前向きな明るい感性の人は、我々が治癒の状況を逐一説明しなくても、自分で気づいて希望を見出してくれます。そうするとますます治りが早くなります。

 病気というものは一直線的には良くならず、再発を繰り返しながら少しずつ改善していくものです。この再発の要因として、日常のストレスによる自律神経系の乱れが第一に考えられます。

 Aさんの場合は、まず、職場でのつらい姿勢を取りながらの長時間労働が挙げられます。(姿勢だけでなく、お客さんの視線を感じながらの精神的緊張も同時に強いられている)また、資格取得のための講習会で出会った講師から言われた辛辣な言葉。更には、某医療機関での注射痕を膝関節に残すような鎮痛剤の注入、(目的とする鎮痛の役割を果たすことなく、むしろ痛みと患部の腫れを悪化させる結果となり、精神的にもずいぶん怖い思いをした、とのこと。)など。この方の場合に限らず、人が社会から受けるストレスというものは枚挙に暇がありません。

鎮痛剤注入後にできた注射痕

 またAさんのように一人暮らしの場合はそのダメージに対して孤独に耐えねばなりません。そういう方々にとってもたとえわずかでも出来ることがあればこれほど嬉しいことはありません。

 さて、このような外界からの圧力(プレッシャー、あるいはストレス)を感じ取った心と身体は、自己防衛のために鎧(よろい)のようなものをまといます。それが身体の硬さとなって現われてきます。あるいは身体に触れたり押さえたりした時の痛みとして出てきます。そこがいわゆる経穴(けいけつ・いわゆる「ツボ」)であることも少なくありません。経穴は何かを表現しているのです。身体が言わんとすることを痛みによって代弁しているので、そこを治療者が読み取って適切な処置をせねばなりません。

 ところが、場合によっては、心身共に様々な打撃に遭っているのにもかかわらず、ツボに、触ってみてもまるで痛みがない場合もあります。(私は重要な診察診断ポイントとして頸椎周辺の経穴を診ます。)一見何事もなかったかのように。いわば「ポーカーフェース」です。気苦労もたくさん、しんどい目にもあっているはずなのに、首肩にそれほどの圧痛(あっつう=押さえた時の痛み)が無い場合があるのです。あまりにひどい目に合うとショックのあまり本音を隠そうとするみたいに。

 そこで鍼の出番です。お腹や手足に浅い鍼を優しく一本、二本…と丁寧に刺していくと、徐々に本音を表わしてくれます。隠していた本当の顔を見せてくれるのです。つまり、初めは無かった痛みがツボに出てくるのです。これは悪化したのではなく、身体があたかも「心を許して」本音を言い始めてくれているのです。場合によっては、痛みが左にあった圧痛が右に移動することもあります。右にあったものが左に移ることもあります。あるいはもともと痛かった所とは違う場所にいったん「集合」することもあります。

 そうなればむしろしめたもので、それらを手掛かりとして新たに知恵を絞って施術を進めていきます。難しいですが、少しずつ身体の緊張がほぐれていくのを見ることは楽しい作業でもあります。鎮痛剤で表面的に処理するのもケースバイケースで必要ですが、このように自らの治癒を目指して身体が動こうとしていることのお手伝いをする医療の形態も世の中には必要だと思います。

 それにしても実に不思議です。本人の意思とは関係のないところで身体は様々に動いているのです。我々の知覚できることはほんのわずか、深い湖の水面に浮いた枯れ葉程度のことなのかもしれません。

石田鍼灸 京都北山 (ishidashinkyu.net)

福井県の魅力満喫🌸Part1 【若狭町歴史文化館】

Part1 「若狭町歴史文化館」~こんなに地味楽しい施設だったとは!~

 一昨年の福井ツーリングの帰り道に偶然立ち寄った三方上中郡若狭町の古墳群。

(上ノ塚古墳、中塚古墳、西塚古墳、糠塚(ぬかづか)古墳)

 いずれかの古墳の案内板に「副葬品として馬具が出土」とありました。「馬具」とは馬に装着する装飾品のことです。

 この時の経験をもとに俳句を作り、夏井いつきさんのサイト「俳都松山俳句ポスト365」へ投句したところ、「秀作」を頂戴しました。

 若狭路や花野に馬具の出でし塚 

 さて、この「馬具」とはどんなもの?若狭の古墳からの出土品が展示されているという「若狭町歴史文化館」を訪ねてみました。(若狭町役場 上中庁舎の中に設けられています。)

エントランス

常設展示室

古墳のレプリカが楽しい

前方後円墳の大きさ比較

近隣の前方後円墳(大和政権との関連の深さを意味する墳形)

鉄製の出土品(富と権力を表わす)

手前に並べられているのが馬具

 ご覧の通り考古学ファンにはたまらない隠れスポットとなっています。京都から小浜方面へ行かれる方は是非お立ち寄り下さい。入館無料です。

(展示物の一部は「撮影禁止」となっていますのでご注意下さい。)

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春の鍼灸実技実践会 in 芦屋 

 3月19日(日)鍼灸師鍼灸柔整師の友人三人と(私を含めて四人)、メンバーの一人でもある芦屋の友人宅に集まり、治療実技講習を兼ねた勉強会を行いました。会場提供者である友人の希望もあり、私が彼の治療をさせてもらうことになりました。

 まもなく還暦を迎えるという年長の友人Yさんは、カヌー、弓道、キャンプ、骨董品収集など、とても多趣味で一見お元気そうに見えますが、やはり寄る年波には勝てず、診察させてもらうとそれなりに身体上の弱点が浮き彫りになってきました。毎日患者さんの治療をするばかりで、ご自身の身体のことはほったらかしなのでしょう。

 全身を診察しながら逐一解説を加え、鍼をしていきます。一本鍼をしたら必ず身体の変化を観察して、皆でシェアします。自分の考えていることが言語化されることで自分自身にとっても大変勉強になります。

 ゆっくりじっくり治療すること一時間半、途中Yさんは「気持ちいい」と言いつつ時折眠りに落ちていたようです。丁寧に診察、施術を行うと、鍼灸の施術はとても気持ちのいいものなのです。このことをもっと多くの人に知ってもらいたいものです。一般的に思われているのはむしろ、「痛い」「こわい」というネガティブなものも少なくないようです。大変残念なことです。効率主義では鍼灸は成り立ちません。効率を追求すると、手技が乱暴になり、患者さんに痛みを与えてしまう場面も出てくると危惧します。

 身体が〈お休みモード〉に入ると、弱すぎたり強すぎたりしていた手首の脈の拍ち方がしっかり、かつ、ゆったりしてきます。そして硬かった身体各所の筋肉が緩んできます。首や肩も周囲もそこへは鍼を刺していなくても自然に柔らかくなってきます。

 クルマやバイクのエンジンに例えて言うと、ギヤをニュートラルに入れて駆動系を一旦遮断し、アイドリングに専念させている状態だと思います。車体を動かすには大きなエネルギーが必要ですが、アイドリングに専念する時間を設けることで、いわゆる自然治力を呼び覚ますことができるのです。こんなことができるのは鍼灸をおいて他にはなかなか見当たりません。

 

 その翌日、YさんからLINEが来て「からだがとても楽です。ありがとう」とのメッセージを受け取ることができました。そう言ってもらうことが何よりも嬉しいことです。

アーモンドの花が満開(京都府立植物園

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大発見?!「イパネマの娘」のサビのコード進行の秘密

  「馬鹿げたことをやりましょう。優しく生きましょう。人生にはその他のために使う時間なんてないのですから。」(キアヌ・リーヴス

 昨年ついにライブハウスやジャズクラブでのジャムセッションにデビューしました。まさに清水の舞台から飛び降りる気持ちでした。半年以上経った今でもそれは変わりません。準備して行っても思うように演奏できることはほとんどありません。それでもいいと思って失敗してもまた行きます。前回の失敗を取り戻すためにも行かねばなりません。しかし取り戻すこともままなりません。

 今年初めての某所でのセッションではアントニオ・カルロス・ジョビンの最も有名な曲の一つ「イパネマの娘」にチャレンジしました。メロディーは鍵盤ハーモニカの人にお任せし、自分はイントロとコンピング(伴奏)、アドリブソロ、エンディングにまさに「心血を注ぎ」ました。

三年前に一度読んだ妹さんによる伝記を再度借りる

 この曲は以前にも演って失敗しています。「いけるでしょ、やってみれば」とホストベーシストの方に言ってもらったのでつい。当たり前ですが、練習不足でいきなり一か八かで演ってもろくな結果は出ません。「その日やる曲は直前まで練習しておかないとダメなんだ」という学びを得ました。

 前回の失敗を教訓に、サビのコード進行をおさらいし、使えるスケールと学習済みのフレーズも再度研究して臨みました。そのおかげで大きくスベることはありませんでした。しかし何かモヤモヤが残りました。それは変則的とされるサビの部分の特徴的なコード進行に合うように、ソロを「仕込んで」行ったからです。 

 翌日になってもどうしたらもっとシンプルに考えてアドリブに持っていけるのか?考えました。一人で考えていても仕方がないのでネットで質問してみたりもしました。その中のレスポンスの一つに「サビはメロディー(主旋律)が4小節×3セットで平行移動している」「各々の後半の7thコードも平行移動している」というものがありました。確かにそれはその通りです。

①F#△7/ 〃 / B7(#11)/ 〃 /

②F#m7/ 〃 / D7(#11)/ 〃 /

③Gm7/ 〃 / E♭7(#11)/ 〃 /

①➡②は短3度上がっています。

②➡③は半音上がっています。

メロディーもこのまったく同じ音程で平行して上がっています。つまり①②③は主旋律もコード進行(後半)もほぼ相似形で出来ているのです。

 問題は前半のコード進行です。これが「とても変則的」とされ、プロの人でも「昔、苦労してやって覚えた」と言われていたほどです。

F#△7/ 〃 / B7(#11)/ 〃 /

F#m7/ 〃 / D7(#11)/ 〃 /

Gm7/ 〃 / E♭7(#11)/ 〃 /

「数学的」に考えて、きっと前半部分にも何か法則があるのではないか?と思い鍵盤上で試行錯誤していると

「おぉ!」

変則的に見えるものにもちゃんとした法則があったのです。

F#△7

F#m7(add9)=A△7(add6)

Gm7(add9)=B♭△7(add6)

下線の部分は見事に①②③の順に平行移動していることが分かります。

 これらは互いにいわゆる「平行調」の関係になっていることにも気づきます。要するに同じコードを使いながらもベース音を変えて雰囲気を変えているだけなのです。ジョビンの作曲家としての技巧を垣間見た思いです。

 斯界のベテランの人たちから見れば常識なのかもしれませんが、自分で発見したことが嬉しく、ここにシェアさせて頂いた次第です。

 この知識によってアドリブを取ることが本当に容易になるかどうか?はやはり練習次第でしょうが。

石田鍼灸 京都北山 (ishidashinkyu.net)