Google Map で表示されない林道は本当につながっているのか?
今や、Google Mapを見れば日本全国の主だった道路の様子は自宅のパソコンの前に居ながらにして確認することができる。しかし、それもある程度広い道までで、山を分け入り本当に狭くなるとその画像は表示されない。
そういう道は行き止まりかというとそうではなく、最終的には峠の向こうの別の道と合流していたりする。一体、この間はどうなっているのか?果たして通過することはできるのか。ゲートでもあって通行が規制されていれば諦めるしかないが、そうでない場合は探索の対象となり得る。
先日の上京ついでに半日を費やし、静岡県内のそのような「地図上でしか確認できない道」の一本を探索してみることにした。移動手段は沼津でレンタルしたオフロードバイク「ヤマハ セロー250」だ。
今回進入するのは、中伊豆から東へ向かう林道。伊豆半島の林道の多くは十数年前にバイク・自動車は通行禁止とされ、入口にはゲートが設けられている。(その理由の一つには不法投棄の横行が挙げられるであろう。場所によっては実際にひどい有り様である。)しかし、ここにはそのようなものなく、標識も見つからない。大丈夫そうである。
この道、地図上では最終的に伊豆スカイラインにつながっているのだが、先に言った「画像表示圏外」らしく、実際の姿は不明である。ひと目確認するのが目的である。
1.進入
中伊豆の静かな山村からスタート。西へ向かって舗装林道を登る。幸いにも通行規制等はない。
地図上で位置を確認
2.ひたすらに進む。人の気配なし。前方を逃げるイタチを一匹見たのみ。
じきにふた手に分岐。右の「林道 垂溜ヶ洞線」は行き止まりなので無視して直進する。簡易舗装が終わり、ダートとなる。
地図上で位置を確認
3.分岐
しばらく進むと道が再び大きくふた手に分かれ、そこに山の神様が現れた。
地図上で位置を確認
エンジンを止めて、しばし山の神様に手を合わせ、左右どちらの道を選択するか考える。地図上ではどちらも先の道に開通しており、行き止まりではない。しかし、左の道は急こう配で、しかもかなり大きな石で路面が埋め尽くされており、バイクでは通行できそうもない。
右の道を選択する。しかし、この先どうなっているのか、まだまったくわからない。状況によっては引き返すという選択肢を持ちながらも、とにかく進む。
凹凸が激しく前進が危ぶまれる。転倒して怪我でもしたら大変である。慎重に進む。
大雨の濁流が流れた爪痕が見られる。まさに酷道。この先もずっとこうなのか。不安になり始める。
軽装備で、しかもソロで来ているので、万一何らかのトラブルで引き返せなくなった場合を考え、ここでバイクを降りて徒歩に切り替え先へ進む。
倒木の横をすり抜け
陥没の脇を慎重に通り
何もない風景の中、ゆるい勾配を登る。
地図上では、左から合流する林道が描かれているが、実際には風化していて無きに等しい。そもそも合流地点らしき場所が深く陥没しており通行不可能である。
あ!
鹿の頭蓋骨と思われるものが野ざらしになっていた。
春泥や林道奥に鹿頭蓋
「鹿頭蓋」と書いて「しゃれこうべ」と読ませたいところ。ちょっと無理かな…?
雪解けから日が浅い頃に渓流釣りなどで渓谷に入ると、かなりの頻度で動物の骨に出遭う。早春の季語に提案したいくらい。
標高が高く空が明るく開けてきた感じになり、林道の終点が近いことを感じさせる。
そしてついにスカイラインに開通していることを確認。
関西在住伊豆半島偏愛家としての数年来の疑問を解くことができ、おおいに満足である。
人に理解されない満足感を胸に、来た道を歩いてバイクに戻り、もとの里へ下った。
4.感想
この林道は途中かなりの悪路となっていること、横から生えている樹木がさらに通行幅を狭くしていることなどにより、バイクや自転車で通行するにはまったく不向きであり、お薦めできない。ただ、徒歩での林道探索は、春先の伊豆の山林特有の「なにもない感じ」を楽しむことができ良かったと思う。