名古屋での半日 タクシーさんとの会話

 お天気のよい初冬の一日、名古屋市千種区にある父方のお墓に父母とお参りしました。名古屋駅からは機嫌のよいぢい様運転手のタクシーに案内してもらいました。おかげで足の悪い父も苦労なくお参りができました。お墓のお花を入れ替え、お掃除もできました。お墓の掃除はなんとも気持ちの良いものです。

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 道中、今年76歳になるというその運転手さんの身の上話を聞きながら行きました。………26年前、離婚した妻に鹿児島の家を明け渡して、タクシー運転手になるため単身名古屋に出てきたこと。なぜ名古屋かだったというと、東京や大阪に比べて道が覚えやすかったから。以来26年間、独り者でやってきた。今は週に三日しか乗車しない。売上げノルマの2万円に達したら、その日の仕事はそれでお終い。欲は出さない。少々足りない場合は、自分のこづかいをつっこんで無理やり2万円にする。行き先がよく分からず道に迷った場合、怒りだす客は10人中1~2人程度、だいたいのお客は優しい。巨人ファンで、鹿児島にいた頃にはよくクルマで小一時間かけて宮崎キャンプを見に行ったこと………などなど。

 

 人の半生は聞いていて楽しいので、ついインタビューしてしまいます。これはいつも診療でやっていることです。治療者は患者さんに対して「人」として関心を持たないと仕事ができません。(プライバシーを聞かれたくないオーラの出ている人には聞かないようにしていますが。)老運転手さんも「愛嬌のあるお客さんで今日は楽しいわ」と言ってくれました。普通は名古屋でタクシーに乗ると、あの独特な言葉で迎えられるのですが、今日はそうでなく不思議な感じがしました。お参りが済むまで、タクシーさんには外で待っていてもらい、また名古屋駅近辺に戻ってもらいました。