平成の断捨離を決行~使わなくなったヴィンテージ物を売却!

 好奇心だけは人一倍旺盛で、趣味の少なくない私ですが、音楽とバイクもそれに含まれます。今年に入って一大決心をし、ロフトで眠っていた楽器と、実家のガレージで冬眠していた大型バイクをオークションで売却しました。どちらもそれぞれ、価値の分かる方の目に留まり、円満に引き取ってもらうことができました。

 

 楽器というのは1960年代にアメリカで生産され、今もごく一部の愛好家には垂涎の的である〈196?年米国Ampeg社製 Babybass〉。エレクトリックベースのコントラバス版と言えば分かりやすいと思います。音色がパーカッシブなことから打楽器との相性が良く、ラテン系のジャズや、キューバプエルトリコベネズエラ・コロンビア等の中南米諸国で盛んなsalsaと呼ばれる大衆向けダンス音楽で好んで使われます。

 

f:id:tacoharumaki:20190303085420j:plain

 

 2006年に破損した状態で中古品を入手、名古屋の専門店で修理してもらい、自分のレッスンやたまのライブで使用しました。近年その機会が減った(減らした)のには大きな理由がありました。それは私が指先を使う仕事をしているということです。弦楽器はその種類にもよりますが、特にベースのような鉄の弦を直接押さえたり、はじいたりするものは指先の皮膚を硬くするのです。指頭(しとう)の微妙な感覚が第一とされる仕事なのでおおいに問題ありです。始めた時からそのことは知っていましたが、人生に未練を残さないよう、なかば強引に始めてしまったのでした。しかし、それにも満足し、ようやく楽器そのものも手放す決心が付きました。

 

 もう一つ、バイクというのも一度手放したら二度と手に入らない代物でした。〈1985年カワサキ製 ZL900 Eliminator 〉。街中で同じバイクが走っているのをみたことがありません。三年間だけで生産中止になった稀少なものです。これもアメリカからの逆輸入品です。それはメーター表示がkmでなくmileであることからも分かります。速度も走行距離もメーターに表示される数字にいちいち1.6を掛けなければkmにならず、結構めんどくさかったのですが、それがマニアにはまた嬉しいことだったのです。

 

f:id:tacoharumaki:20190303085445j:plain

 

 エンジン音も大きく、何より車重があり、エンジンを切った状態での取り回しも大変でした。デザイン重視のため、タンク容量も11Lしか無く、高速道路では、頻繁にサービスエリアに入って給油しなければならないという不便さもありました。年齢的な理由もあり、次第に維持管理が大変になってきたので思い切って売却したというわけです。

 

 こうして私の一つの時代は終わりました。「人の持っていない物を持ちたい」という欲求も正直あったと思います。さびしい気持ちもありますが、むしろスッキリした気分の方が勝っています。ベースは大阪の方に、バイクは埼玉の方に、どちらも誠実な良い人に引き取ってもらえたので、末永く大切にしてくれるでしょう。そういう意味でも引き継ぎが終わったのです。

 

 ひとつ気づいたことがありました。モノを売買することに夢中になっていた期間中は俳句を作ることができなかったことです。善し悪しではなく、脳の活動パターンが全く違うのでしょう。果たしてもとに戻れるのでしょうか…。

 

石田鍼灸 京都北山