産後ケアの大切さ~産後の鍼のすすめ~

 去る3月末に、広島で行われた「第34回経絡治療学会学術大会」に参加・受講してきました。

 

 今回は〈母と子の経絡治療 妊娠~子育てを支える伝統の力〉と題して、妊娠、出産、産後ケアに関する講演会が二日間に渡って行われました。

 

 具体的なことはさておき。今回再認識させられたことは、この領域に関して鍼灸がお手伝いできることは本当にたくさんある、ということでした。

 

 全国各地で鍼灸師の先生方がそれぞれの方法で患者さんのために貢献されている様子に感銘を受けて帰ってきました。そして早速、次のような案内を作りました。 

 

   産後ケアの大切さ~「産後の鍼(はり)」のすすめ~

             

 「産後の肥立(ひだ)ち」という言葉をご存じでしょうか。産後6~8週間(産褥(さんじょく)期)の母体の健康回復を指す言葉です。この時期の過ごし方は、女性の一生涯の健康にかかわってくるので昔から大切に考えられてきました。

 

  東洋医学では、産後は血(けつ)が非常に不足した状態だと考えます。これを「血(けっ)虚(きょ)」と言います。血虚の状態で無理をすると、体調を崩しやすく、様々な症状が現れます。場合によっては更年期の健康状態にまで影響を及ぼすと言われています。

 

 「産後は目を使うな」というのも、この血虚と関係があります。目を使うという行為は、血液を非常に消耗するのです。血液は全身の筋肉を動かし活動させるだけでなく、「見る」、「聴く」、「考える」、「気を使う」、「心配する」などのあらゆる脳活動の原動力でもあるのです。ですから、この時期にスマートフォンなどの使用によって目を酷使すると、補充されるべき血液が養われず、身体の回復そのものが妨げられてしまうのです。

 

 また、東洋医学では、産後の婦人は「上実下(じょうじつげ)虚(きょ)」の状態であると考えます。これは出産によってこれまで赤ちゃんがいた下腹部が急に空虚になったため、相対的に上半身に気(き)血(けつ)が集中し、のぼせたり、貧血で倒れたりしやすくなるということです。更に寝不足や心労が加わると、産後うつ症状(いわゆる「マタニティ・ブルー」)が現れやすくなります。

 

 「産後の肥立ち」を良くするために、古くから「産後の鍼(はり)」というものがあります。消耗した血液を効率よく生産するお手伝いをするとともに、上実下(じょうじつげ)虚(きょ)によって起こる様々な症状(めまい、肩こり、頭痛、ふらつき、冷え、腰痛など)の予防と治療にも有効です。

 

 当治療所では、産後3ヶ月間は特にケアが大切な時期と考え、1回3,000円の費用にて施術させて頂きます。産後の健康回復の一助として、どうぞお役立て下さい。