睡眠の大切さについて~NHKラジオ〈腸内細菌のチカラ〉より~

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前回の記事に続き、今回も同じく、藤田絋一郎 先生のラジオ講座〈腸内細菌のチカラ〉の中から第12回(2020.6.21放送分)より要点を抜粋して紹介させて頂きます。

脳のある高等動物が睡眠を必要とするのは、
脳の大きさに限りがあるため、ずっと起きていると情報処理しきれなくなることが大きな理由です。

人のサーカディアンリズム(概日リズム、体内時計)は、24時間10〜11分これは宇宙のリズム
地球の自転周期は徐々に伸びています。 (10〜11分の伸びしろ)
人体の細胞 37兆個
時計遺伝子に異常 がん細胞
2%が新しくなる(7004億の新しい細胞)
体内時計を無視するとがん細胞ができる
ローカルスリープ(局所睡眠)
起床時に朝日を浴びると体内時計がリセットされ、精神を安定させる
イルカイルカや渡り鳥は脳を半分ずつ眠らせる「半球睡眠」 
草食動物はカロリー摂取効率が悪いことと、外敵から逃れるために睡眠時間が短く設定されています。

◆ノンレム睡眠(入眠後90分で深い睡眠へ ゆったりした脳波)
その役割はまだよくわかっていない。

レム睡眠(夢見中)ノンレム睡眠の後90分で小刻みな脳波へ→あまり使われなかったシナプスを淘汰)
ノンレム睡眠ばかりだと脳機能が低下し心停止へ至る恐れがある、それを防止。〈睡眠の中の覚醒状態〉と言える。

□ 睡眠不足の弊害
睡眠の質と胃腸の働きの関係(睡眠障害が起きると、ストレスとなって交感神経が優位に活性化し、ストレスホルモンの分泌が増加し、胃腸障害も起こる。)

例) 旅行中の機能性便秘、過敏性腸症候群 など

ストレス過多→交感神経亢進→ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)過剰分泌→免疫を司るTリンパ球(T細胞)の機能を抑制→免疫力ダウン→様々なトラブル(風邪引き易くなる、睡眠障害、精神症状、アルツハイマーパーキンソン病、腸内細胞の素性と機能、概日リズムに異常)

日没後にブルーライト可視光線の中で最も波長が短い青色光)を長時間見ることによって、ヒトの体内時計は狂ってしまいます。ブルーライトを浴びることで概日リズム(体内時計)が障害され、
メラトニンという自然な睡眠導入へ導くために大切なホルモンの分泌が抑制されて眠れなくなるのです。節電の目的で普及したLEDにもこのブルーライトが含まれており、目と脳に重大な影響を与えます。 ですから、寝る前の3時間はスマホはダメなのです。
 
眼精疲労睡眠障害を防ぐためにも、少なくとも寝る前の3時間はテレビやスマホから距離を置き、部屋を暗くすることが大切です。
 
□ 睡眠中に分泌されるホルモン
 
自然な睡眠導入へ導いてくれるこのメラトニンには、人体に有害な活性酸素を抑制してくれるという働きもあるのです。
 
②成長ホルモン 
その名の通り成長促進のホルモンですが、代謝にも関わっていて、細胞の新陳代謝、免疫向上、疲労回復などの身体のメンテナンスに重要な役割を果たします。入眠後2〜3時間後に特に多く分泌されます。
逆に眠りが浅くなってくると、成長ホルモンに代わって今度はコルチゾールが分泌されます。これは体内に蓄えられた脂肪をエネルギーに変える働きがあります。眠りの質が悪く睡眠不足になると、脂肪をうまくエネルギーに変えることができず、コルチゾールが分泌されないと肥満になってしまいます。
 
朝日の強い光を浴びることで、脳内伝達物質であるセロトニンの分泌が促進され、脳をしっかり覚醒させると同時に精神を安定させます。

体内時計のズレは蓄積されるのですが、セロトニンはこれをリセットしてくれる役割もあります。

また、ホルモンはタンパク質から作られるので、毎日の食事では良質のタンパク質を摂るよう心がけましょう。

□脳を覚醒させる 「オレキシン(脳を覚醒させるホルモン)
 これは日中に多く分泌されるホルモンで、空腹時に分泌され目覚める赤ちゃんを見てもわかるように、 摂食行動を促します。退屈な時には分泌されないという特徴があり、そのためつまらない授業などでは眠くなります。 
 
三度の食事を摂ることで「食事同期性概日リズム」が出来上がり、この習慣がオレキシンの規則正しい分泌リズムを作り、夜になると眠り、朝には朝食を食べる習慣に合わせて脳が覚醒するようになったということです。朝日と朝食で体内時計をリセットすることができるのです。