春の鍼灸実技実践会 in 芦屋 

 3月19日(日)鍼灸師鍼灸柔整師の友人三人と(私を含めて四人)、メンバーの一人でもある芦屋の友人宅に集まり、治療実技講習を兼ねた勉強会を行いました。会場提供者である友人の希望もあり、私が彼の治療をさせてもらうことになりました。

 まもなく還暦を迎えるという年長の友人Yさんは、カヌー、弓道、キャンプ、骨董品収集など、とても多趣味で一見お元気そうに見えますが、やはり寄る年波には勝てず、診察させてもらうとそれなりに身体上の弱点が浮き彫りになってきました。毎日患者さんの治療をするばかりで、ご自身の身体のことはほったらかしなのでしょう。

 全身を診察しながら逐一解説を加え、鍼をしていきます。一本鍼をしたら必ず身体の変化を観察して、皆でシェアします。自分の考えていることが言語化されることで自分自身にとっても大変勉強になります。

 ゆっくりじっくり治療すること一時間半、途中Yさんは「気持ちいい」と言いつつ時折眠りに落ちていたようです。丁寧に診察、施術を行うと、鍼灸の施術はとても気持ちのいいものなのです。このことをもっと多くの人に知ってもらいたいものです。一般的に思われているのはむしろ、「痛い」「こわい」というネガティブなものも少なくないようです。大変残念なことです。効率主義では鍼灸は成り立ちません。効率を追求すると、手技が乱暴になり、患者さんに痛みを与えてしまう場面も出てくると危惧します。

 身体が〈お休みモード〉に入ると、弱すぎたり強すぎたりしていた手首の脈の拍ち方がしっかり、かつ、ゆったりしてきます。そして硬かった身体各所の筋肉が緩んできます。首や肩も周囲もそこへは鍼を刺していなくても自然に柔らかくなってきます。

 クルマやバイクのエンジンに例えて言うと、ギヤをニュートラルに入れて駆動系を一旦遮断し、アイドリングに専念させている状態だと思います。車体を動かすには大きなエネルギーが必要ですが、アイドリングに専念する時間を設けることで、いわゆる自然治力を呼び覚ますことができるのです。こんなことができるのは鍼灸をおいて他にはなかなか見当たりません。

 

 その翌日、YさんからLINEが来て「からだがとても楽です。ありがとう」とのメッセージを受け取ることができました。そう言ってもらうことが何よりも嬉しいことです。

アーモンドの花が満開(京都府立植物園

石田鍼灸 京都北山 (ishidashinkyu.net)