鍼灸名医・西田皓一先生講演会 in 博多

駆け出しの頃からの愛読書 上・中・下巻あります

 今年よりご縁を頂いている大阪の南利雄先生(薬剤師 鍼灸師)からのご紹介で、博多で開催された貴重な講演会を受講して参りました。そんなに遠方にまで出向いたのには訳があります。それは私が鍼灸初学の二十数年前よりご著書を通じてたびたび助けて頂いた医学博士・西田皓一先生がご講演をされるからです。

 西田先生は高知県の内科医で、長年に渡り鍼灸医学の研究と執筆に携わってこられた方です。是非ともこの機会にお目にかかりたく、思い切って出掛けることにしました。(大阪南港から新門司港までバイクを乗せてのフェリー旅でしたが、全国旅行支援のお陰でずいぶんと安く旅することができました!バイクで行ったのには別の理由があります。)

全国旅行支援の40%割引を受けるため、南港フェリーターミナル内の列に並ぶ

西田先生のお話 地元九州各地からも受講生さんが多数

 西田皓一先生は昭和12年生まれなので、今年満85歳を迎えられます。ご高齢にもかかわらず、わずかな休憩を二回挟んだだけで、午後1時から5時までずっと立ちっぱなしでお話しになりました。本当にお元気です。その後の懇親会でも終始ご機嫌で、積極的に我々若い世代の治療家と交流して下さいました。

 内科医でありながら、50年間に渡り、中国の鍼の専門家との交流など、様々な機会を捉え、積極的に鍼灸医学を研究され、日々の外来診療をされ、同時に執筆もされてきました。鍼灸の専門家である鍼灸師東洋医学を西洋医学の医師に教えるのが本来の在り方なのに、反対に鍼灸師の方が熱心に西田先生に教えを乞うというほどの徹底した勉強ぶりです。それほどの情熱をもって深く探求される姿勢には私も長年、ご著書を通じてではありますが敬服していました。今もな新しい本を書いておられると聞きました。

 鍼灸の治療というものは大変に奥が深く難しいもので、たとえ国家資格を取得していても、素人上がりの初学者がそう簡単に効果を出せる安易なものではありません。第一、実践に役立つ勉強の方法が分かりません。いろいろな流派が並立混在しており、一体どこのどの先生について何を学べば良いのか、皆目見当がつかないのです。そして初学者はいざ患者さんを前にして治すことができず苦しむのです。そこへ助け船の数々をよこしてくれたのがまず第一に西田先生のこの「東洋医学見聞録」シリーズでした。

 西田先生の鍼灸治療は、中国式の考え方、いわゆる「中医学」がベースにあります。私個人は最初に中医鍼灸の先生について学び始めましたが、後年これに加えて、日本式の経絡治療式脈診法や、VAMFITで有名な木戸正雄先生、昭和の大名人、愛媛の故 池田太喜男先生の考え方なども加えて、この四半世紀で自分オリジナルの診察法、治療法を少しずつ作ってきました。つまり自分なりに整合性の付く範囲内で「先人のいいとこ取り」をしてきたのです。その中の一つの大きな部分をまず西田先生の著書が与えてくれたのでした。

 また新鮮に感じたのは、九州の受講生さんたちがとても熱心で、様々な質問が積極的に出ていたことです。大阪や東京の会の方が皆さん静かです。活気があるのはとても良いこと、後で尋ねてみると、「(講演会や研修会は)なかなか九州まで降りてこないので飢えているんです」とのことでした。学習とはこうして自ら求めてするものだな、と感心しました。

 居酒屋での懇親会では西田先生とも十分にお話しすることができました。お元気の秘訣を伺いましたところ、「毎日のゴルフ」だそうです。「スポーツはあらゆることをやってみたが1日でやめたのもある」と言って皆を笑わせておられました。自称「飽きっぽい」のだそうですが、こと鍼灸に関してはそうではなかったようです。また、二十代の若い人には、「こういう飲み会などで人の話を聞く耳学問が大切だよ」と机上の勉強がすべてではないことを諭されていました。ご著書にもサインをして頂き、しっかり握手もしてもらってお別れしました。

「心つねに仙境に遊ぶ」と読みます。「勉強は楽しみながらするものじゃよ」の意に受け取りました。

帰り際に近年の著作を拝受致しました!

 

 今回のもう一つ目的については次回明かします(バイクで行った理由)

 

石田鍼灸 京都北山 (ishidashinkyu.net)